2012年2月29日水曜日

Easy A (映画)



【元ネタ】
『緋文字』 ナサニエル・ホーソーン

【あらすじ】
女子高生、オリーブは「知り合いの大学生と初体験をした」とウソをついたことがきっかけで"bitch"という噂を立てられ、自暴自棄になってビッチを演出するうちにどんどん深みにはまって…

【コメント】
現代アメリカの高校を舞台にしたコメディです。ホーソーンの『緋文字』を元にしていることは映画の中で明言されており、「デミ・ムーアの似非イギリス英語の新しい方の映画ではなくて、古いサイレント映画を見るように」と勧めています。あと、1980年代にラブコメディを何本か撮影したジョン・ヒューズという監督の作品へのオマージュにもなっているらしいですが、私はジョン・ヒューズの作品は見たことがないのでよく分かりませんでした。

ヒロインのオリーブは美人で頭も性格も良いのですが、変な同級生として「純潔クラブ」を結成してヒロインをおとしめる女とか、その彼氏で3回くらい留年して性病にかかる男とか、ゲイの少年などが登場します。主人公の両親もおもしろいです。自業自得でどんどん深みにはまってビッチと後ろ指をさされるというのは結構キツい状況ですが、明るい笑いに満ちています。特に、ゲイの少年と同級生の家のパーティで「ヤッたふり」をするシーンがいいです。そして賢い主人公が自力で挽回し、ハッピーエンドとなるのも痛快です。

『緋文字』はアメリカ東海岸を舞台とした、どちらかというと暗くてイヤな話ですが、本映画はカリフォルニアが舞台で、明るい日の光と乾燥した空気がよく似合うような楽しい映画です。ハスキーヴォイスと碧色の瞳でクールなエマ・ストーンの次回作に期待しています。

それにしても邦題の『小悪魔はなぜモテる?!』というのはちょっとひどいんじゃないでしょうか。あまり内容と合ってもないですし。



『ジェーン・エア』と幽閉

Rebecca Solomon, 'Governess'

新しい『ジェーン・エア』映画を観て、小説は「幽閉」、「閉じ込められる」が主要テーマになっていると思いました。

  1. 罰としての「幽閉」
    孤児であるヒロインは叔母に養育されるが、従兄のジョン・リードと喧嘩をし、罰として赤い部屋に幽閉され、恐怖を味わう。
  2. ヘレン・バーンズ
    主人公は叔母の家で邪魔者扱いされ、貧しい家庭の少女のための過酷な寄宿学校に送られる。ヘレン・バーンズと出会い、仲良くなるが伝染病の流行でヘレンは若くして死亡する。ヘレンは死が現世的な苦しみからの開放である、と語る。少女達を閉じこめ、理不尽な規則で拘束する場としての学校。
  3. 家庭教師という立場
    ヴィクトリア朝の家庭教師は安い賃金で一日中酷使される立場であった。賃金はコックよりも安かったとも言われる。教育を受けており、使用人(メイド等)よりは多少は地位が高かったとはいえ、女性の就労の機会は限られており、貧しい女性が運悪く結婚できなかった場合は一生家庭教師として裕福な家庭に仕えるしかなかった。いわば、運命に閉じ込められているようなものではないだろうか。
  4. ロチェスターの妻バーサ、屋根裏部屋の狂女
    結婚後、狂気に陥り屋敷の一室に閉じ込められるバーサ。火を見ると興奮し、火事を起こす危険性があるため、監禁されている。精神病院に送られるよりもまし、とのことだが、酒癖の悪い看護婦に付き添われ、ほとんど動物のごとき(むしろ動物よりもたちの悪い)存在として描写される。
  5. 開放
    重婚させられそうになった事実を知ったジェーンは、ロチェスターの屋敷を抜け出し、荒野をさまよう。運良く、親切な牧師セント・ジョン・リヴァースとその妹たちの庇護を受けることができたが、財産も身寄りもない女性が一人で放り出されるということは、当時はそのまま「堕ちた女」になる危険性が高かっただろう。宣教師としてインドへ渡るセント・ジョンに求婚されるが、「ジェーン」と呼ぶ「声」に止められる。「声」は超現実的なもののようであるが、「自分の本来の意志と反するようなことをしてはならない」というヒロインの本能であったのだろう。
  6. 立場の逆転
    ロチェスターと結婚したジェーンは、かつての教え子アデールを邪魔者とばかりに寄宿学校に送る。これまで、抑圧され閉じ込められる存在であったジェーンは、遺産相続及びロチェスターとの結婚により経済的安定と地位(権力?)を手に入れ、他者を「閉じ込める」側の者に変化した。すなわち『ジェーン・エア』においては、力を持っている者は他人を「閉じ込める」ことができるが、金銭的に無力で後ろ盾のない存在は、自らの意志に反して「閉じ込められる」者である。



2012年2月27日月曜日

Jane Eyre (映画)


 2011年に公開された、最新の『ジェーン・エア』です。IMDB先生によれば、『ジェーン・エア』はこれまでに20回ほども映画や、TVドラマ化されたそうです。私は本作品以外にはジョーン・フォンテインと、シャルロット・ゲンズブールが主演している物、その他いくつかをyoutubeで断片的に観ましたが、この最新の『ジェーン・エア』が一番良いと思いました。ジェーン・エアがヒロインとして画期的なのは、孤児で、美しくなかったにもかかわらず、自分の手で幸福をつかんだことです。そのため、映画のジェーン・エアがあまり美人だったり、お嬢様っぽい雰囲気を出していたり、年を取りすぎていたりしてはダメだと思うのです。

本作品の主演はオーストラリア出身のミア・ワシコウスカです。 絶世の美人ではありませんが、少女小説の主人公らしい雰囲気です。物静かな佇まいで、芯の強さとか情熱を秘めた表情は、小説のジェーン・エアが抜け出したようです。裕福な家庭のお屋敷や、庭、荒野などのイギリスらしい風景も満載です。映画では省略されがちな、セント・ジョン・リヴァースとその妹たちもかなり重要な役割を果たしています。

それと、印象的だったのはロチェスターの狂気の妻、バーサです。登場するのは1、2分ですが、単なる不気味でわけの分からない精神病患者ではなく、寂しげな表情でロチェスターにすり寄る、若く美しい女性です。小説はジェーン・エアの一人称で語られるため、騙されて重婚させられそうになった主人公もしくは狂女に束縛されているロチェスターが犠牲者?であるかのような書きぶりなのですが、本当に気の毒な犠牲者だったのは語る余地を与えられていないバーサだったのだと思いました。ジーン・リースの『サルガッソーの広い海』はバーサから見たジェーン・エアです。こちらも読んでみたいです。





2012年2月22日水曜日

良い香りのするもの

この冬は、ニューイングランド地方には珍しく温暖で、雪は2、3回しか積もりませんでした。とても乾燥しています。買い置きのリップクリームがほとんどなくなったので、買いました。蜜蝋のリップクリームで、天然成分製とのこと。香りは色々あるみたいです。これはミントフレーバーです。良い香りで、しかも長持ちします。リップクリームとマスクをつけていると幸せになります。ところで、花粉症とか風邪を引いていてもアメリカ人はほとんどマスクをつけないので、私がマスクをつけて外出すると、子供が珍しがって、私が視界に入らなくなるまで首を回してまじまじと見ています。言葉が喋れない赤ちゃんでもベビーカーから指をさして「アーアーアー」と言ったり、もう少し大きい子供だと「ママ、あの人が顔につけている白い物はなに?」と言ったりします。アメリカで子供の注目を浴びたかったらマスクをつけたらいいと思います。

レモン香料です。料理にレモンの香りをつけたいとき、オーガニックレモンを買ってきて皮をすりおろして使っていましたが、おろし金の性能があまり良くなくて、穴にほとんど詰まってしまうのですりおろした後に爪楊枝でつつかないと取れません。それに、レモンをまるごと1個使いきるのは意外と難しいです。オーガニックレモンは1個1ドルくらいしますが、レモン香料は60ml入りで3.50ドルで、少なくとも10回分はあるので、この方が経済的です。天然のフレーバーとのことです。柑橘類はオレンジが主流で、みかんはsatsumaの名称で売られていますが、柚子やスダチなどはありません。アジア系のスーパーでも見たことがありません。近く、ニューヨークに行く予定で、大きな日本食専門店があるそうなので柚子を買ってこようと思います。

2012年2月18日土曜日

役に立つかもしれない話・仮免

運転の仮免試験を受けてきました(マサチューセッツ州)。日本語で受験することができ、過去問などはこのサイトが詳しいです。問題は25問あり、18問以上正解すれば合格です。このサイトに書いてあることを勉強していけばまず合格はできると思います。Mass.dotで申請書を記入し、プリントアウトして持参します。申請書の記入段階で問われるのですが、生年月日、署名、現住所の証明のため、パスポート等のIDが必要です。私はパスポート、SSN、銀行から送られてくるデビットカードの利用明細を持参しました。

WatertownのRMV事務所で受験しました。当該事務所はArsenal Mallの中にあって、特に看板などは出ていなかったため、私はしばらくその周辺をウロウロしてしまい、ちょっとショッピングモールのインフォメーションに場所をきいてみようと思って、中に入ったらすぐ見つかりました。最初に受付で仮免試験を受験したい旨を伝えると整理券を発行してくれます。順番が呼ばれたら、申請書とIDを提示し、視力検査を受け、写真撮影をします。この時日本語で受験したい旨を伝えました。試験時間は25分と言われましたが、見直しも含め5分もあればできると思います。英語受験はタッチパネル方式ですが、日本語試験は紙です。終わったら時間途中でも回答を提出し、すぐに合否が分かり、仮免を発行してもらえます。

特に困ったことはなかったのですが、住んでいるところからは試験会場が結構遠くて(それでも一番近いRMV事務所です)20キロくらいあり、カーナビ先生の指示どおりに運転したら途中高速を運転しなくてはいけなくなって、みんなスピードを出すので怖かったです。日本の教習所はたまたま高速道路が近くにない場所で、シミュレータで練習しただけでしたし、渡米するまではほとんどペーパードライバーだったので、高速を運転したのは初めてでした。渡米後は、半年近く運転していますが、いつも決まった場所にしか行っていませんでした。自動車の運転免許はおそらく一番多くの人が持っている、もっともポピュラーな免許だと思うのですが、運転の「向き不向き」というのはあると思います。練習不足や、運転は怖くて好きではない、ということもありますが、自分はやはり運転には向いていないようです。あと実技試験も受けなくてはいけません。縦列駐車を練習します。

2012年2月17日金曜日

テリーヌか、パテか、ミートローフか?


写真のとおり肉料理を作りました。レシピは新聞の付録のレシピブックに載っていた「テリーヌ」です。挽き肉にみじん切りにした野菜と調味料、スパイスなどを混ぜて寝かせた後、オーブンで蒸し焼きにして作ります。「ミートローフ型」という名称で販売されていたパイレックスの耐熱ガラス容器を使いました。ところで、ミートローフとテリーヌについて、私は「ミートローフ…英米の家庭料理。ハンバーグみたいなやつ、あまりおいしくなさそう。/テリーヌ…フランスの料理。レストランで出てくる、何となく高級なイメージでおいしそう」という程度の認識しかありませんでした。それで少し調べてみました。

  • ミートローフ…英米の料理。挽き肉に玉ねぎやパン粉、スパイス、調味料を加え(=ハンバーグ種)、型に入れてオーブンで焼く。
  • テリーヌ…蓋付きのキャセロールのこと。テリーヌ型で作った料理は、肉を使っていない、魚介や野菜のゼリー寄せ等もテリーヌという。
  • パテ…テリーヌを型から出すとパテになる。もともとはパイ皮で包んだものを「パテ」といったが、現在では必ずしもパイではない。なお、英語圏では日本でいわゆるハンバーグと呼ばれる、ミートローフを丸くフライパンで焼いた料理をパテと呼ぶ。
  • リエット…フランス料理。豚肉などを野菜と一緒に煮込み、潰してペースト状にしたもの。
とのことでした。「プロレシピブログ 艸SOUの作り方」 には色々な凝った肉料理のレシピがあっておもしろいです。アメリカは肉が安いので、試してみたいと思います。

 オーブンが大きいので、同温で焼けるカトルカールを一緒に作りました。レシピはこちら。レシピの半分の量に減らし、丸い型を使いました。あまり甘い物は食べない夫にも好評でした。

2012年2月16日木曜日

Snow in Summer(本)

Walter Crane
【題材、書誌情報等】
「白雪姫」 グリム童話
Snow in Summer, Written by Jane Yolen, Philomel Books, 2010

【あらすじ】
1930~40年代の、アメリカウェストヴァージニア州が舞台。サマーと呼ばれる、Snow in Summerは、ヴァージニア州のつましい家庭に生まれ、幼くして母を失くした後も親戚のナンシーに保護されて成長します。しかし、父親が魔女に魅入られて再婚すると生活は一変し、ヒロインは継母にこき使われ、支配され、新興宗教の教会に連れていかれ、ついには命の危険まで…

【コメント】
ジェイン・ヨーレンは日本では絵本とSF数冊の翻訳があるようですが、「アメリカのアンデルセン」と呼ばれ、300冊(!)を超える児童書を出版しています。Wikipedia先生によると、ヨーレンはハリー・ポッターシリーズの作者が自作に登場するアイディアのかなりの部分を断りなく使用したと主張しているとのことです。アーサー王伝説の再話や、眠り姫の再話もあります。

Snow in Summerは、主人公のサマーの語りの他に、名付け親と継母による回想が含まれ、さらにサマーが写真を見て「登場人物は昔、こんなふうに見えていた」という描写をする部分があり、物語に厚みがあります。児童文学であり、単純な文章で読みやすく書かれています。継母は腹の底まで真っ黒の邪悪な人物で物語はファンタジーによくある、善と悪の対抗を中心に展開します。

実在の時代と場所に設定されていてしかも現代に近いだけに、魔法の薬とか、真実を喋る鏡などを登場させるのは少し無理がある気がしますが、主人公のサマーは『赤毛のアン』を愛読する普通の少女として書かれています。図書館は一般書の他、YAコーナーと絵本が中心の子供コーナーがあり、本書は子供コーナーに置かれていました。小学校3、4年生の子供が喜んで読みそうです。主人公の父親は精神的に弱く、無責任なのに、何の報いも受けないのはちょっと問題ではないかと思います。

【おすすめ度】
★★★★☆

2012年2月11日土曜日

食器購入記録3



  • サラダボウル
    Waterford製です。同社はホワイトハウス御用達のクリスタルメーカーとのこと。写真にはあまり写っていませんがカット面がキラキラ光ってきれいで す。ウォーターフォードのロゴは、タツノオトシゴというところがユニークです。しかも今年はちょうど辰年です。四角い模様が気に入っています。

  • カップ&ソーサー
    デンマークのビング・オー・グレンダール社製です。同社はフィギュリンが有名です。現在はブルーフルーテッドのロイヤルコペンハーゲンに買収されています。北欧食器といえば最近はイッタラやアラビアなどが人気があるそうですが、私はモダンで実用性重視のものよりも、少しクラシカルなものが好みです。日本で住んでいた家の隣は畑で、野菜の他、道路に近い側にはいろいろな種類の花が植えられていました。アパート住まいで、庭もなくベランダ園芸もしていませんでしたが、そこの花は(自分で世話をする必要もなく)きれいで、かなり楽しませてもらいました。特にヤグルマギクの深い青色が印象的でした。ノヴァーリス の『青い花』です。英語ではcornflowerといいますが、cornはトウモロコシではなく、麦類全般を意味し、麦畑に繁茂する雑草だったことからその名前が付けられたそうです。すなわち、ブルーウィートとも薄く関連があります。

2012年2月10日金曜日

イサベラとバジルの鉢

John White Alexander
画像はボストン美術館所蔵、ジョン・ホワイト・アレクサンダーという画家による「イサベラとバジルの鉢」です。「イサベラとバジルの鉢」はボッカチオの「デカメロン」の中の一話で、19世紀にキーツがこれをもとに詩を書きました。全文を参照できます。
 「イサベラとバジルの鉢」あらすじ
イサベラは裕福な家庭の娘で、二人の兄から金持ちと結婚するよう、画策されていたものの、使用人であるロレンツォと恋に落ちる。これを快く思わなかった兄たちはロレンツォを殺害する。イサベラは恋人の首を切り取って鉢に植え、バジルの種を蒔く。バジルはよく育ったが、またも兄たちによって鉢を割られてしまう。イサベラは悲しみのあまり、発狂して死ぬ。
アレクサンダーの作品はモノクロ写真のような地味な色遣いです。時代や場所が不明の珍しい衣服で、左手のイサベラの頭のあたりにある布は幕のようにも見えます。光の当たり具合やイサベラの姿勢もドラマチックで、私にはお芝居の一場面のように見えます。 黒っぽい背景に人物が白っぽくかかれていると幽霊などを思わせ、ぞくりとするようなゴシック調の趣きがあります。この話は全体として「身分違いの恋」、「殺人」、「首を切り取る」、「発狂」などなど、ゴシック調です。縦長の画面が印象的ですが、絵葉書を買ったら膝の辺りで絵が切り取られていて残念でした。

イサベラはラファエル前派の画家に好まれた題材でした。
John E. Millais

J.E.ミレーの作品はバジルの鉢は登場しません。こんなふうに色々な身分の人たちが同じ食卓につくことがあったんだろうか、とか、人数の割には小さいテーブルに人々がひしめき合っているとか、ちょっと変なところのある絵だと思います。ミレーの家族や知り合いの集団肖像画のようで、イサベラのモデルは義妹、ロレンツォはダンテ・ガブリエル・ロセッティの弟、一人置いて口元にナプキンを当てているのはミレー自身のお父さん、向かい側でグラスを持っているのは同僚の画家のデヴァレルだったと思います。ロレンツォがイサベラに差し出しているのはブラッドオレンジで、血のように赤い果汁が出るので、後に死んで首を切り取られるということを表しています。クルミの殻を割り、犬を蹴っている人物は、残虐なイサベラのお兄さんです。

William Holman Hunt
ホルマン・ハントのイサベラです。アレクサンダーの作品と同じ場面を描いていますが、色彩や雰囲気が大きく異なります。産褥で亡くなった奥さんをモデルにしたそうです。イサベラは寝間着を着ていて、奥にベッドが見えます。眠れなくて起きたということだそうです。植木鉢の髑髏のモチーフと、ジョウロは同じテーマを描いたウォーターハウスの作品にも承継されました。

J.W.Waterhouse

J.M.Strudwick
J.M.ストラドウィックのイサベラは、バジルの鉢がさらわれた場面です。窓の外に二人のお兄さんが鉢を持って駆けていくのが見えます。ちょっとこの距離なら急いで追いかければ追いつけそうです。イサベラの珍しい、少し乱れたドレスや、体をひねったやや不自然なポーズはラファエル前派の影響が色濃いとも言えるし、狂気の萌芽であるようにも思えます。
Henrietta Rae


W.J.Neatby
ニートビーの作品のイサベラは、恋愛とか狂気とはあまり関係がなく、園芸を楽しむ上流婦人のようにも見えます。





眠りの妖精


デンマークの作家、ハンス・クリスチャン・アンデルセンの童話にOle Lukøje(オーレ・ルコイエ?デンマーク語なのでよく分かりません)があります。日本語では「眠りの妖精」、英語ではSandman等と訳されるようです。彼は子供たちの目に細かい砂をかけて眠らせます。両脇に傘を1本ずつ抱えていて、良い子には絵が描いてある傘をさしかけます。するとその子は一晩中美しい夢を見ます。もう1本の傘には絵は描かれておらず、悪い子にさしかけるとその子は夢を見ずに深く眠るそうです。眠りの妖精は、Hjalmar(ヒヤルマール?)という少年に1週間、お話を語ります。主人公の少年は壁にかけられた絵の中をボートで旅したり、ネズミのひく指貫に乗ってネズミの結婚式を見に行ったりします。日曜日には眠りの妖精の兄であるもう一人の眠りの妖精、すなわち死が人々に訪れる様子を垣間見ます。

アンデルセン童話は変な話とか、救いのない話が多いですが、かわいいと思いました。絵本は意外と少なくて、図書館で探した限りではリスベート・ツヴェルガーの挿絵のものしかありませんでした。眠りの妖精をモチーフにしたロイヤル・コペンハーゲンのフィギュリンを買いました。傘は1本しか持っていません。同社のフィギュリンはもっと短い服を着ているバージョンなどもあるようですが、いずれも少年の姿です。アンデルセンによる眠りの妖精はギリシア神話の眠りの神、モルフェウスであり、大変年をとっているそうです。高齢でも人間でなければ姿が人間の老人と同じと考える必要はないのでしょう。ジョージ・マクドナルドの児童文学にも若々しい外見の老人が登場します。

Wikipediaのアンデルセンに関する記事におもしろい記述があります。
 “極度の心配性であったらしく、外出時は非常時に建物の窓からすぐに逃げ出せるように必ずロープを持ち歩いた。さらに、眠っている間に死んだと勘違いされて、埋葬されてしまった男の噂話を聞いて以来、眠るときは枕元に「死んでません」という書置きを残していた。(中略)ラブレター代わりに自分の生い立ちから、童話作家としてデビューした事、初恋に敗れた悲しさなどを綿々と綴られた自伝を送るという変な癖があった”
 アンデルセンは切り絵もあります。こんなのとか、こんなモビールも販売されているようです。 ステキ。暗い話が多いとはいえ、随所に寒い地方の冷たい光のような、澄んだきれいな描写が見られるのはアンデルセンの魅力だと思います。絵本や童話集などで読んで「知っているつもり」になっていましたが、そういえばすべてをちゃんと読んだことはありませんでした。いずれ、全集を読んでみます。


デンマークの画家、ハンマースホイも好きです。中学生のころ、カレン・ブリクセンに熱中していた時期がありました。いつかコペンハーゲンに行ってみたいです。

2012年2月9日木曜日

食器購入記録2



食器購入記録1より続きます。
  1. バター皿
    卓上ベルのような形です。アザミのレリーフが付いています。写真用語で日没後数十分間は「マジック・アワー」とよばれ、空が紺色の幻想的な写真が撮れるそうです。その時の空の色に似ています。アメリカのバターは1本がだいたい日本の半分のサイズなので、まるごと1本入れる式のバターケースだと帰国してから使いにくいことと、バターは毎日使うわけではないので小出しにする方が清潔感があると思い、小さくて蓋のある容器を選ぼうと思いました。…が、通販で買った物が届いてみてその大きさにビックリしました。てっきり掌に乗るサイズだと思っていました。こんなにバターばかり食べませんて…
    そして、この大きさ、重厚さ、ごリッパなレリーフにおそれをなし、油で汚すのがもったいないと思って内側のお皿に丸く切ったワックスペーパーを敷いて使っています。

  2. 塩いれ
    特にこだわって選んだわけではないです。こういう容れ物は蓋がない場合がほとんどで、湿気大国日本に持ち帰って使えるかどうか、甚だ疑問なのでとりあえず安いシンプルなものを買いました。ただ、夫は丸い形が気に入ったみたいでかわいいと言っています。

2012年2月8日水曜日

Sirena(本)

J.W.Waterhouse 'Mermaid'
【題材、書誌情報等】
ギリシア神話
Donna Jo Napoli 著、Scholastic Inc 刊、1998年

【あらすじ】
美しい歌声を持つ姉妹たちと海に暮らしていた人魚のシレナは、人間の男性に愛されることがあれば永遠の命を授かる運命でした。トロイア戦争に向かう途中に女神ヘラの呪いで蛇に噛まれて重傷を折った人間のフィロクテテスの傷を介抱し、無人島で夫婦のように暮らし、永遠の命を得ますが、自分だけが不滅になっても意味がないと気付きます。

【コメント】
ドナ・ジョー・ナポリらしい、軽くさらっと読める小説です。ただ、主人公が人ならざる者で、ファンタジーとしてもかなり無理があります。全篇の半分以上はシレナとフィロクテテスだけであれやこれやして、恋愛の話に終始しているので少し平板です。人と人魚の違い以上に男女の違いについて考えさせられる部分はあります。

【おすすめ度】
★★★☆☆





2012年2月7日火曜日

役に立つかもしれない話・確定申告

配偶者がアメリカで就労し、収入を得ている場合、アメリカでの確定申告をする必要があります。会社で手続きを代行してくれている部分もあるようですが、自分の口座の預金残高などを申告しなくてはいけません。前年度の各口座の最高残高や、受取利子などを申告しました。オンラインでチェックできるデータもあるのですが、やはり通帳は実家に預けるなどせず、外国に引越す際に持ち出し、自分で保管しておいた方がいいです。

2012年2月5日日曜日

ショウガシロップ

黄金色のショウガシロップ(笑)
あまり賛同してもらえないのですがショウガが好きです。根ショウガはアジア野菜のコーナーで販売されています。大量に買ってきて(大量にしか売っていない)、ショウガシロップを作ってみました。

【準備するもの】
  • ショウガ 300~500グラムくらい
  • 砂糖 ショウガと同量
  • シナモン 粉末なら小さじ1杯くらい
  • クローブ 粉末なら小さじ1/4くらい
  • 粒胡椒 5粒くらい
  • 保存用の容器 煮沸しておく 

      【作り方】
      1. ショウガは洗って皮をむき、薄切りにする。
      2. 1のショウガを鍋に入れて砂糖をまぶし、2,3時間放置する。
      3. ショウガから水が出てショウガ全体が浸るぐらいになったら、スパイスを加え、中火にかけてかき混ぜながら煮る。沸騰したら弱火にしてさらに1時間くらい煮る。焦げ付かないよう注意。
      4. 冷ましてから保存容器に移し、冷蔵庫で保存する。
      5. 残ったショウガに水を1リットルくらい入れ、再度沸騰するまで煮る。飲む。
      スパイスは別に入れなくても良いと思いますし、他の種類のスパイスや、レモンジュースを入れるレシピもあるようです。残ったショウガは、水を入れて再度煮出すことでほとんど味がなくなるので、私は捨ててしまいますが、カレーなどの料理に活用する方法もあるみたいです。シロップは、お湯で割って飲みます。喉がシュワーッとして風邪に良さそうです。無糖ソーダ水で割ればジンジャーエールです。

      2012年2月4日土曜日

      食器購入記録1




      Coalport, Blue Wheat

      Wedgwood, Rococo

      結婚式の引出物は食器が多く、よく招待される人は引出物だけでかなりの食器が集まると言いますが、私たちはあまりその機会がありませんでした。当初から数年内に引越しをする予定だったため、その際に気軽に処分できる物をと考え、白い模様のない食器を2人分だけ購入し、丼やスープ皿などは色々な用途に使い回していました。食器は60cm×50cm×25cmくらいで棚板が1枚ある食器棚にすべて収まってまだ棚に余裕がある程度しか持っていませんでした。ただ、何年もこんな使い方をしていると少し寂しい感じがしてくるので、食器を買いました。結婚式に出席した場合のご祝儀や交通費などの支出額を自分の選んだ食器に費やすことができると考えればかなり贅沢ができます。
      1. サラダ皿
        Coalportは、「ハンティング・シーン」シリーズで有名な陶磁器メーカーです。現在はウェッジウッド傘下にあります。大学生のころ、新宿駅の地下商店街を歩いていたときに、小さな雑貨店で初めてBlue Wheatの食器を見ました。紺色に金色で模式化した麦の穂の柄が描いてあってエレガントです。一人暮らしで来客もないため必要はなく、大学生には分不相応なので買いませんでした。新宿駅の地下街は入り組んでいて広く、そのお店がどこにあったかも分からなくなってしまい、コールポートという名前も、ブルーウィートのことも忘れていたのですが、今回食器を探していて、そういえばと思い出しました。これを手に入れることができて嬉しかったです。他の食器も、これに合わせて選びました。

        お皿は小さい方からブレッド&バター、サラダ、ディナーの種類があります。Forbesの記事によれば、食器が大きいと9~30パーセントほど多く盛り付けてしまうそうです。ディナー皿のサイズは、1900年には直径23cm程度でしたが、2010年には直径30cmくらいまで大きくなり、アメリカの肥満増加の一要因となった旨、説明されています。私が買ったのは直径20センチのサラダ皿です。ただし、「盛り付けすぎ問題」を解決するためにはディナー皿をひとまわり小さいサイズのサラダ皿で代用するのではなく、2種類の異なる種類のお皿を準備する方が有効であると書かれています(食器メーカーの利益を慮っているのでしょうか…?!)。

      2. スープボウル
        同じシリーズでフルセットを揃える気はありませんでした。フルセットの中にはまず使う機会のなさそうな食器(例えばグレービーボート)が含まれているし、すべてを同じ柄で揃えるのはツマラナイと思ったからです。これはウェッジウッドの「ロココ」という模様です。ブルーウィートと色遣いや雰囲気に通じるものがあります。

      3. パン皿
        Enoch Wedgwoodのものです。イノック氏は、有名な陶磁器メーカー、ウェッジウッド社の創設者であるJosiah Wedgwood氏の遠縁の親戚で、独自に陶磁器の会社を設立しましたが、1985年に有名な方のウェッジウッド社の買収されたようです。ジョサイアの陶磁器はジャスパーの他、金彩や銀彩を施したゴージャスな製品が多い一方、イノックの方は白地に青で風景などを描いたやや地味な物が中心です。少しターナーの水彩画の雰囲気にも似ています。せっかく絵が全面に描いてあるところ、料理で隠れてしまうのは惜しい気がしますが、パン皿なら結構見えるので良いかと。

      4. ガラスの器
        ヨーグルト、アイスクリーム、ゼリーなどをティーカップにいれていたので、買いました。乳製品はガラス器に入れたいです。こちらは葉だと思いますが、ブルーウィートの模様にも少し似ています。