How I Grew (本)



Memories of Catholic Girlhoodに続くMary McCarthyの自伝です。前作と重なる時期もあり、幼少期〜大学卒業までを書いていて、高校・大学のことが中心です。マッカーシーは学業の面は非常に優秀ではあったのですが、品行方正な「優等生」ではなく、破天荒な人でありました。それは
  • 14歳のときから祖父母の目を欺いて男性と交際(カーセックスあり)
  • 高校のMay Queenの選出に際し、自分の応援している候補者に投票するよう同級生をアジる
  • メトロポリタン美術館で何を見るかについて家族と喧嘩し、大理石の階段の上から下まで転げ落ちる
などのエピソードから伺い知ることができます。自分に対しても他人に対しても容赦なく、辛辣に書かれています。『グループ』の登場人物のモデルとなったヴァッサー大学の同級生たちについても言及があります。その内の一人、「喫煙室のモナリザ」と呼ばれたレイキーのモデルは「喫煙室のスフィンクス」というあだ名の同級生でした。ただ、マッカーシーは自分の所属していた「グループ」にどっぷり浸かるのではなく、本書の末尾では、「グループは私を拘束するようになった。仲間内でいつも一緒にいる、上流社会の排他性にうんざりしていた」と書いています。一歩引いたシニカルな目で自分の所属していた「グループ」を見ていたからこそ、おもしろく乾いた文体で小説に昇華されているのかもしれません。

なお、これに続く自伝にIntellectual Memoirs: New York, 1936-38 があります。

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