2013年7月31日水曜日

Love, Fiercely(本)


【書誌情報】
 Jean Zimmerman, Love, Fiercely: A Gilded Age Romance, 2012

【あらすじ】
サージェントの「フェルプス・ストークス夫妻の肖像」のモデルとなった、ニューヨーク出身の大富豪の夫妻の生涯。

【コメント】
「フェルプス・ストークス夫妻の肖像」のアイザック・ニュートンとイーディスの夫妻は、サージェントの肖像画の中でも際立ってモダンでおしゃれな服装です。サージェントの描いた肖像画の貴婦人はサテンやレースのドレスに、アクセサリーも宝石をふんだんに使ったものを身に着けていることが多いですが、イーディスの服装はパリッとした生地に、装飾も少なく、自転車に乗るような格好です。本書によると当初、サージェントは夜会服などもっと華やかな服装のイーディスを描こうとしていました。


別の画家による肖像画です。イーディスは、婦人参政権運動に関与したり、幼稚園の拡大に尽力したりしたそうです。サージェントの描く彼女の肖像はそういった進歩的な性格をあらわしているように思いました。

旦那さんのニュートン・フェルプス・ストークスは貿易事業などで財をなした大富豪の家に生まれました。ニュートンの両親はレノックスに100も部屋のあるお城のような大邸宅を構えていました。イーディスも良家の出身でした。幼なじみの二人はお互い28歳の時結婚し、新婚旅行で1年以上もパリに滞在して、サージェントによる肖像画はその時描かれました。

ニュートンは趣味人で、ニューヨークの古い地図や版画を多数集収し、本として出版しました。建築に関心が高く、ニューヨークの集合住宅の改善などにも携わったようです。夫妻には子供がありませんでしたが、女の子を養子にしました。その子が良い環境で成長できるように、との願いからイーディスは「アメリカ幼稚園協会」の会長を努めました。イーディスは晩年には体調を崩し、ニュートンは献身的に介護をしました。

題材としてはおもしろいとは思いますが、夫妻は大変にお金持ちで、働く必要がなかったので、本書の内容は「お金がたくさんあった。それは今日の貨幣価値では○円くらいである。それでお金をこんなふうに使った」という話に終始していて、平板に感じました。肖像画の製作についても通り一遍の記述ばかりです。大部分はニュートン・フェルプス・ストークスの回想記をもとにしているようですが、二人の性格が今ひとつよく見えないのも残念に思いました。


なお、前衛芸術家、アンディ・ウォーホルのミューズであったイーディ・セジウィックはイーディス・ストークスの大姪にあたり、名前は大叔母に由来するそうです。

2013年7月29日月曜日

A Dangerous Method(映画)

ベルヴェデーレ宮殿の先生方

【基本情報】
A Dangerous Method,  2011
監督 David Cronenberg
出演 Keira Knightley, Viggo Mortensen, Michael Fassbender 他

【あらすじ】
カール・ユングの私設精神病院に入れられた若く美しい患者のザビーナ・シュピールラインはヒステリーと診断され、池に飛び込むなどエキセントリックな行動が多い。ユングは彼女の症状が幼少期に父親から罰された体験に起因すると考える。ユングはウィーンにフロイトを訪ねるが、のちに決裂する。ユングとザビーナは愛人関係となり、精神分析界に「ユングは患者と寝ている」という匿名の手紙が届くようになる。予告編

【コメント】
ユング、フロイト、後に自らも精神分析医となり、ユングと不倫関係にあったザビーナ・シュピールラインの3人を巡る、史実に忠実な映画だそうです。ただ、精神分析学自体が今となっては疑問符のつくものだと思いますし、ストーリーは少し気持ち悪く感じました。鞭打ちとか興味ないです。ヒロインのザビーナはかなり変な人で、ユングに捨てられるとペーパーナイフで切りかかります。また、大金持ちの令嬢と結婚し、奥さんのお金でヨットを買ってもらったり、病院を作ったりした挙句に「妻はfoundation(土台、資金源)だ。愛人は空気中の香気だ」と言うユングもちょっと人としてどうかと思います。

ストーリーには乗れませんでしたが、絵としてはきれいです。女性達の着ている薄い白い布にレースやホワイトワークを施した衣装がすてきです。スイスやウィーンの風景も美しいです。フロイトとユングがカフェに行って、ザッハトルテのようなものを食べていたり、散歩しているのがベルヴェデーレ宮殿だったりと、先月ちょうどウィーンに行ったので、うれしかったです。見るからに高価な家具や食器が並ぶユングの家や、コレクションが所狭しと陳列された、ヴンダーカンマーの趣きのあるフロイトの書斎もいい感じです。

スイスも景色が良いところで、行ってみたいなと思いました。本来こういう映画を見たらフロイト、ユングの著作を読んだり、ザビーナ・シュピールラインの功績について学んだりすべきなのでしょうが、その方面にはまったく興味を持てませんでした。

2013年7月26日金曜日

ロクム(ターキッシュ・デライト)


トルコのお土産にロクム(ターキッシュ・デライト)をいただきました。「トルコのお菓子」として日本でもそれなりに普及していると思うのですが、求肥のような食感で、いただいたものにはピスタチオやヘーゼルナッツなどが入っています。駄菓子のキビダンゴにも似ています。

イギリスに行ったとき、ハロッズのデパ地下で買ったことがあります。その時はあまりおいしいと思いませんでしたが、いただいたものはナッツが入っていておいしかったです。でも、とても甘いので一度に2個以上は食べられません。

ターキッシュ・デライトといえば『ナルニア国物語』で、登場人物の一人、エドマンドが白い魔女に「一番好きなお菓子はなにか?」と尋ねられ、「ターキッシュ・デライトです」と答えるシーンがあります(日本語訳では「プリン」となっていましたが)。そのターキッシュデライトは今までに食べたことがないほどおいしいもので、エドマンドはこのことをきっかけに物語の上で悪である白い魔女に従うようになります。『ライオンと魔女』と「桃太郎」から言えることは、食感が餅のようなお菓子を持っていると、子供や動物を手なずけるのに使えるらしいということです。

冗談はさておき、私はナルニア年代記は1巻しか読んでいません。子供のころからあまり本を読まなかったので、ナルニアも、トールキンの『指輪物語』も、アーサー・ランサムも読んでいなくて、今さらながらもっと本を読んでおけば良かった、と後悔しています。最近は少しは読書しようとはしているものの、今となってはファンタジーにはあまり食指が動かず、児童文学にはきっと賞味期限があるのだろうと思っています。

2013年7月24日水曜日

Sargent's Daughters(本)

サージェント「エドワード・ボイトの娘たち」1882年、ボストン美術館


【書誌情報】
Erica Hirschler, Sargent's Daughters: A Biography of a Painting, MFA Publications, 2009

【あらすじ】
ジョン・シンガー・サージェントの「エドワード・D・ボイトの娘たち」にまつわるノンフィクション。エドワード・ボイトと妻のイサは、マサチューセッツ出身の裕福な夫婦で、アメリカ東海岸とヨーロッパを行き来して暮らした。自身もセミプロの水彩画家だったボイトは、パリでサージェントと知り合い、サージェントはボイトの娘たちをモデルに傑作を描く。

【コメント】
「エドワード・ボイトの娘たち」はボストン美術館の看板娘で、ポスターやパンフレットにもよく使用されています。この作品の前にはベンチがあり、両脇には絵に描かれた大きな有田焼の壷も展示されています。美術館がそれほど混雑していない日も、この作品の前にはいつもたくさんの人がいます。

ボストン美術館にて撮影、2012年1月
本書の著者、Erica Hirschlerさんはボストン美術館のアメリカ美術の学芸員です。本書は詳細な調査に基づく、半ば学術書でそれは短い記述であっても出典が明記されていること、巻末には長い参考文献リストがついていることからも分かります。フローレンス、ジェーン、メアリー・ルイーザ(イサ)、ジュリアの4人姉妹の周辺についてはヘンリー・ジェイムズの手記を一とするたくさんの資料があります。しかし、ボイト夫人や姉妹自身による日記や手紙は現存しないため、肝腎の姉妹については不明な点が多いようです。そこで、同時代の似た境遇の少女の生活等に取材する他、親類による記録などをもとに姉妹の人生をたどっています。とはいえ、分かったことは姉妹の誰も結婚しなかったこと、及び家が裕福で信託財産からの収入があったため、職業に就かなかったことで、あとは
  • 長女フローレンス(壷にもたれている) 従姉妹と同棲したが、晩年は精神状態を崩し、51歳で死亡
  • 次女ジェーン(黒いドレス、前向き) 十代で精神病となり、生涯病気に苦しんだ。
  • 三女イサ(左、赤いドレス) ほとんど分からず。
  • 四女ジュリア(人形を持っている) 絵画の才能があり、作品を美術館に出品したこともある。
という程度で、詳しいことは謎に包まれたままです。残念ではありますが、特に際立った活動をしていない100年前の女性について、記録が残っていないのは無理もないことなのかもしれません。乏しい資料から書かれたノンフィクションであるにもかかわらず、無味乾燥ではなく読み物として十分おもしろい内容でした。

有田焼の壷はボイト一家が大西洋を横断する度に一緒に海を渡り、常に家に飾られていたそうです。後にボストン美術館に寄贈された時、中に「紙飛行機、ピンクのリボン、テニスボール、地理の宿題、バドミントンの羽」などが入っていた、というエピソードが一家の生活の片鱗を見るようです。こういった大きな壷は日本ではあまり見ない気がしますが、それもそのはずで、19世紀末に明治政府が欧米で流行したジャポニスムを後押ししたこともあり、大きな壷は特に海外輸出用に生産されていた、とのことです。

「カーネーション、ゆり、ゆり、ばら」
興味深いのは「エドワード・ボイトの娘たち」はパリで描かれたフランス的な作品であるところ、サージェントのもう一つの傑作、「カーネーション、ゆり、ゆり、ばら」は「ボイトの娘たち」のイギリス的な翻案である、という指摘です。サージェントは、パリのサロンに出品した「マダムX」が酷評された後、ヘンリー・ジェイムズの勧めもあってイギリスに渡ります。そして渡英後、最初に公に出したのが「ヴィッカーズ姉妹」でした。
「ヴィッカーズ姉妹」
しかし、ヴィッカーズ姉妹の肖像画は「フランス的に過ぎる」としてイギリスでは好意的には受け入れられませんでした。そこで、サージェントは「カーネーション、ゆり、ゆり、ばら」に着手しました。これはロンドンの王立美術院に展示されるや賞賛を受け、国家により買い上げられました。「ボイトの娘たち」と「カーネーション…」は一見したところ、類似点は少ないように見えますが、
「子供たちを描いた作品のうち、一方は室内に、他方は屋外に場所を設定しているが、共に光をとらえることを真の課題としている。ボイト姉妹の肖像画で、サージェントはモダンなフランスの室内における光と薄暗がり、影と反射を探求し、『カーネーション、ゆり、ゆり、ばら』では伝統的なイングリッシュ・ガーデンにおける薄明かりと提灯の灯の効果を研究している。いずれの作品も少女たちに焦点を当てているものの、全体として、その性格描写は重要視されていない。(中略)少女たちは全員、白いドレスを着ている」(122頁、和訳は適当)
その上、どちらの作品でも東洋から輸入したもの(壷、提灯)が重要な小道具です。「エドワード・ボイトの娘たち」はエレガントで、謎めいたゴシック調の雰囲気があり、「カーネーション、ゆり、ゆり、ばら」は幻想的で美しく、それぞれに魅力的です。

ボストンはもちろんのこと、ウォータータウンやネイティック、ボストン公立図書館など、行ったことのある場所に言及されていました。また、25枚のカラー図版と40枚の白黒図版が収録されていて、その半分以上はこれまでに行った各地の美術館で実物を見たことがありました。こういう本を読むと絵を見る目が変わりますし、ボストンとその周辺に縁のある本を、このタイミングで読めて良かったと思います。いろいろな美術館へ連れて行ってくれた夫に感謝します。

今年の秋に、ボストン美術館ではサージェントの水彩画の特別展が開催される予定で、きっと本書の著者も企画に関与しているはずなので、楽しみに出かけたいです。

2013年7月23日火曜日

How It All Began(本)

【書誌情報】
Penelope Lively, How It All Began,Penguin Books,2012

【あらすじ】
風が吹けば桶屋が儲かる。英語教師を引退した初老の女性、シャーロットはロンドンでケチな泥棒に財布を盗られて骨折し、身体がきかなくなったために、娘のローズとその夫のゲリーの家に身を寄せる。ボランティアで英語を教えていたシャーロットは、教室まで行く代わりに東欧からの移民、アントンを家で個人教授する。シャーロットの怪我が引き金となり、ローズ、アントン、ローズが秘書として仕える歴史学者ヘンリー卿、インテリアデザイナーのマリオン、その恋人のジェレミーの人生がそれぞれに変化する。

【コメント】
ペネロピ・ライヴリーの小説はいつも現代に生きる女性に寄り添う書き方をしています。本書の主要登場人物である3人の女性は1.引退した英語教師のシャーロット、2.シャーロットの娘で裕福な学者ヘンリー卿の秘書を勤めるローズ、3.ヘンリー卿の姪でインテリア・デザイナーのマリオンです。3人とも自分の望む仕事をし人々からの信頼を得て、7~9割くらいは自分の人生に満足しているようであり、同時に将来への不安もあり、家族、恋人との間にちょっとした問題も抱えています。3人それぞれが少し自分と似た部分がある気がするし、いろいろな知人に似ているようにも思います。

マリオンはアンティーク商で妻子あるジェレミーと不倫の恋をし、ジェレミーは妻から離婚を言い渡されます。ほぼ同年代らしいローズは結婚して20年以上、穏やかな夫婦関係を築いてきましたが、東欧からの移民、アントンにひかれ、買い物を手伝うとか、ロンドンを案内するという名目で何度かデートします。でも、連れ立って出掛けるだけで、一線を越えることはなく、恋愛感情を抑制するところに好感を持ちます。私は本能や感情に忠実に生きるとか、本音の表現をあまり意味あることだとは思いません。「自分に正直に」行動した場合の一つの結果がマリオンとジェレミーであり、一時的にではあるものの自分も家族も泥沼に陥ります。恋愛小説じたい、それほど読みませんが遠慮と我慢を通した本書のローズとアントンのストーリーはまれに見る、あらまほしき恋愛だと思いました。

ブッカー賞を受賞したMoon Tigerではヒロインである作家が「なぜ語るのか」という命題を探求していました。本書はMoon Tigerと対になる作品のように思えます。本書における問いは、「なぜ人は物語を読むのか」というものです。おもしろいのは、語ることに対する問いと読むことに対する問いの答えは同じで、結論としては'No Man is an island...'(誰がために鐘は鳴る)なのです。このフレーズは本書の最初と最後のページにも引用されています。

Melusine(本)

ドイツの画家、ユリウス・フブナーによるメリュジーヌ。出典
【書誌情報】
Lynne Reid Banks, Melusine, 1988, Puffin Books他

【あらすじ】
フランスの「メリュジーヌ伝説」に取材したヤングアダルト小説。夏休みに両親と双子の姉妹とともにフランスを訪れたロジャーは、古城に宿泊する。塔のある大きな城は荒れていて、今は鬼のようなセルペ氏と、十代の娘、メリュジーヌが山羊を飼って細々と生活していた。ロジャーは年の近いメリュジーヌと仲良くなり、共に山羊の搾乳をしたり、ボートを漕ぎに出かけたりする。しかし古い城には秘密があり、ロジャーは夜中に異形のものの気配を感じる。

【コメント】
A.S.バイアットのブッカー賞受賞作、『抱擁』は非常におもしろい小説で、詩、伝説、過去と現代が絶妙に交錯する読み応えのある一冊でした。『抱擁』ではメリュジーヌ伝説が効果的に使われていて、そこから興味を持ちましたが、この伝説について書かれた本は日本語ではあまり見つけられませんでした。リード・バンクスのMelusineはメリュジーヌゆかりの地に滞在したイギリスの少年の一夏を書いています。

リード・バンクスは『リトルベアー』シリーズとブロンテ姉妹の伝記小説がおもしろかったですが、本作は期待はずれでした。山羊を飼って父親と古城に暮らす少女のメリュジーヌは、おそらく伝説上のメリュジーヌの遠い子孫で、彼女もまた夜中に蛇に変身します。父親のセルペ氏は没落した貴族であり、娘の他に家族もなく近所から孤立し、貧しく不衛生な生活をしていることから少し頭がおかしくなっており、メリュジーヌは父親の性的虐待を受けています。

親による子供の搾取、特に性的虐待などできれば避けて通りたいテーマで、仮に取り扱うのであれば、よほど慎重にしないと、単に不快な虚無感にとらわれるだけなのに、ちょっとこの小説では重いテーマを大雑把に扱いすぎている感があります。「虐待される少女」と「メリュジーヌ伝説」と「中産階級の少年の夏休みの冒険」という三つがうまく絡んでいないようにも思いました。家庭は円満で、裕福な家の主人公のロジャーに比べ、メリュジーヌの置かれている状況は過酷です。にもかかわらず、全体としては恵まれているロジャーがメリュジーヌを見物し、手を差し伸べようとはするものの、結果的にはメリュジーヌに助けられるという構図になっているのも腑に落ちません。

メリュジーヌ伝説は恩を仇で返されたので、翼を生やして飛んで行ってしまう(川に飛び込みゆくえをくらます)という話でした。自力で自分を開放したのに、「こうするのが一番いいんだよ」と言って、本人の意向をきかずに善意からメリュジーヌの先行きを決めようとする大人たちの前から彼女は姿を消します。伝説ではその後メリュジーヌはセイレンになったそうで、本書でもヒロインのその後についての記述がありますが、こういった物語はラストが霧の中に吸い込まれるように曖昧なのが魅力であり、敢えてその後に言及する必要はないのではないかと思います。

2013年7月21日日曜日

お食事会

夏のしつらえ
もうすぐ日本に帰国されるお友達をお招きし、お食事会をしました。メニューは
  • コブサラダ
  • ガーリックトースト
  • タルティーニ
  • ポタージュ
  • ローストチキン
にしました。カロリーの高そうなメニューになってしまいました。コブサラダはいろいろな材料を少しずつ使い、見た目がカラフルで楽しいのでお客様のときはよく作ります。料理は1人分ずつ盛り付け、順番にお出しするのが正しく、大皿を並べるのは美しくないですが、私が頻繁に出入りするのも落ち着かないし、好きなものを好きなだけ取っていただくのがいいかと思い、このようにしています。


チキンは切り分けてお出ししました。ナイフとフォークを使って食卓で切り分けるのはかなりの技を要します。


デザートは栗のプリンを作り、ウェハースと桜桃を添えました。プリン液を漉すのを忘れたので、食感が悪くなってしまいました。ティーセットについて「どこの食器ですか?」と尋ねられ、「すてきですね」と言っていただき、うれしかったです。私はあまり子供に好かれることはないのですが、今回来てくれたかわいいあかちゃんは「punkaさんいい人!」と言ってくれました。

いつか、プルーストのレシピ本を使って『失われたときを求めて』のフランソワーズが用意したようなこってりした料理でお客様をもてなすのが夢です。

2013年7月20日土曜日

科学博物館「死海文書」展


ボストンの科学博物館「死海文書」の特別展を開催中なので見に行きました。図書館で割引券をもらいましたが、常設展と併せて入館料32ドル→22ドルにしかならず、ヨーロッパ旅行で散財しすぎた後で痛い出費になってしまいました。死海文書は20世紀半ばに発見された1000弱の聖書関連の文書、とのことで、考古学的に非常に重要だそうです。

高い入館料を払ったので元をとらないと、となるべく解説も読みながら見ましたが、展示物の保護のためか冷房がききすぎていて冷えてしまい、途中で挫折しました。数千年も昔のものが見られて、巻物に書いてあった内容が読める、というのはおもしろいですが、考古学とか、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の入り混じる西アジアの文明についてかなり知識があることを前提としているようでした。展示内容は少しマニアックだと思いました。子供もいましたが、小中学生には難しいのではないかと思います。

美しいモデル。なんか「たんじぇんと」?とかいうものらしい。
その後、常設展を見ました。20年前、2年前にも科学博物館に来ました。2年前と比べても変わっている部分がかなりありました。私は子供の時も今も科学はサッパリで、その上20年前は今以上に英語も読めなかったので展示を見ても「?」でしたが、今回は理系修士の夫がいろいろ説明してくれて、おもしろく見られました。しかし、いくら頭の良い夫と結婚しても、残念ながら自分は一つも賢くなりません。

この雰囲気、いいよね!(バカ)
オウムガイは「ふぃぼなっち」というものと関係あるらしい。
科学博物館や自然詩博物館で一番ワクワクするのは貝殻と鉱石の展示です。それも、「この鉱石の組成は…」という科学的興味からではなく、単に見ておもしろいから、きれいだから、という理由なのでダメです。科学博物館は体験型の展示もたくさんあるので、たとえ意味はよく分からなくても子供も楽しめそうです。夏休みなので、子供が集団で来ていました。

アルキメデスの装置


2013年7月19日金曜日

ジョシュア・ベルのコンサート(タングルウッド)



タングルウッドまで行って、ジョシュア・ベルのコンサートを聴きました。演目はチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲と交響曲第5番でした。チャイコフスキーは夫が特に好きな作曲家です。

会場は半分野外ステージのようになっていて、芝生の上で聴くこともできます。開演のころには芝生が観客で埋め尽くされていました。ピクニック日和で、食べ物やお酒の他、簡易テーブルに花まで飾ってピクニックを楽しんでいる人がたくさんいました。私たちは芝生ではなく屋根の下で聴きました。

ホールの様子

開演前にジョシュア・ベル本人がお出ましになり、インタビューに答えていました。ジョシュア・ベルが所有する前に盗まれて泥棒が使っていたという、ストラディヴァリウスについての話や、ピアニストのマルタ・アルゲリッチについて、「とてもカリスマ性のある方です。彼女と共演するのは野生の馬を乗りこなすようなものです」と話していたのがおもしろかったです。ジョシュア・ベルの演奏を聴くのは3回目です。糸っぽい音がまったくしない、なめらかで艶のある音色だと思います。インタビューの時は普通のアメリカ人に見えましたが、スター性のある演奏家だと思いました。高い演奏技術を持つプロはたくさんいますが、ステージに現れた途端に観客が歓声をあげて興奮するような人は多くはないと思います。

ステージはほとんど見えませんが、オーケストラが大きなディスプレイに映し出されます。演奏者の表情などもよく見えます。指揮者のラファエル・フリューベック・デ・ブルゴスは御年80歳で、椅子に座って指揮をしていました。クラシック音楽界の老大家を重んじすぎる風習ってなんとかならないものなんでしょうか…

夜公演は開演が8:30で、終わると11時を過ぎるので、その後2時間以上ボストンまで運転するのはかなり大変だったようです。昨年もタングルウッドに行って夜遅くなり、もしまた行くことがあったら、近くに宿泊しましょう、と夫と話したにもかかわらず、今年も深夜のドライブの車の中で、「また来る機会があれば次こそはレノックスにホテルをとりましょう」と話したのでした。

2013年7月18日木曜日

The Picture of Dorian Gray(本)


【書誌情報】
Oscar Wilde, The Picture of Dorian Gray, Lippincot's Monthly Magazine,1890

【あらすじ】
画家、バジル・ホールワードが見つけた天使のような美青年、ドリアン・グレイは怠惰で放蕩者の貴族のヘンリーに強く影響されるようになる。ドリアンの恋人、シビルはドリアンに振られて自殺する。彼を慰めるためにヘンリーは豪華絢爛で空疎なフランス小説を贈り、ドリアンは複数の女性と不倫の恋をしたり怪しげな地下室でアヘンを吸ったりするようになる。10年以上経ってもドリアンの美貌には変化がなかったが、ホールワードが描いたドリアンの肖像画は変貌していた。久しぶりに会ったドリアンの変わらぬ美貌に驚いたホールワードは…

【コメント】
オスカー・ワイルドの同性愛傾向が色濃く反映されているといわれる、ワイルド唯一の長編小説です。大学で英文学史の講義を取っていたとき、課題図書だった気がしますが、あまりおもしろくなくて数ページで挫折しました。英語の先生がオスカー・ワイルドが好きだとおっしゃるので、読んでみました。

内容は途中5割くらいまではほとんど何も起こらず、7割くらいまであまりおもしろくないです。衒学的・抽象的な話題が多くて疲れてきます。アフォリズムをマシンガンのように浴びせられても困ります。しかし、途中から急展開で俄然興味が沸きます。ドリアン・グレイが強く影響を受けたというユイスマンスの『さかしま』も読んでみたいと思いました。

ドリアンは非常に美しい青年でした。私のドリアン・グレイの容貌のイメージはオスカー・ワイルドのゲイの恋人だったアルフレッド・ダグラス卿ですが、ドリアンがあまりにも悪い人なので、現実に存在した人に重ねるのははばかられます。画像はギリシア神話に登場する、ゼウスに愛された美少年のガニュメデスです。

一緒に読んだ夫がドリアン・グレイを攻撃していたのがおかしかったです。「ドリアンて最低な奴やな。あいつはあかんわ。どうして殺すねん。信じられんわ、ああいうことしたらあかんで。だいたい『ドリアン』て名前からして悪そうやん」と言っていました。それで先生に「現実にドリアンという名前の人を見たことがありますか」とお尋ねすると、「ありません。ドリアンという名前自体がとても珍しいし、この本のせいで『ドリアン=悪い人』というイメージが定着してしまったので、あえてドリアンという名前を付ける人はまずいないでしょう。同じように『ロリータ』という名前の人も見たことがありません」とおっしゃっていました(ロリータは本来ドロレスですが、ドロレス自体が古い名前で現在ではあまりないそうです)。

バレエの『ドリアン・グレイ』が今日本で上演されて話題になっているようですね。予告編を見てみると、原作の雰囲気とは大幅に違いますが興味が沸きました。

2013年7月17日水曜日

ヨーロッパ旅行の備忘録


 これから旅行される方のお役に立つかどうか分かりませんが、今後の自分のためにもメモを残しておきます。

  • ホテルには日本ほどアメニティグッズがない。歯磨きセット、スリッパなどは持参する方が良い(高級ホテルにはあるのかもしれません)。
  • 旅行に行ったらできるだけ早く現地の詳細な地図を手に入れると便利。空港に置いてあることもあるし、ホテルでもらえることもある。
  • ドイツ、オーストリアはクレジットカードが使えない店も結構ある。蚤の市は当然現金のみ。クレジットカードでユーロがおろせるATMもある。
  • 交通機関の乗車券を毎回買っていると高い。48時間、72時間パスなどで移動するとかなり節約できる。
  • Berlin Welcome Cardは公共の交通機関乗り放題のほか、文化施設やレストランの割引もある。小さいガイドブックがついていて、携帯もできて便利。
  • もし複数の文化施設に行くのであれば、Museum Pass Berlinも買った方がいい。
  • ウィーンにもVienna Cardという似たパスがある。
  • コペンハーゲンのCopenhagen Cardはベルリン、ウィーンのパスに比べて高額で元がとれなさそうだったので買わなかった。交通費は高いものの、街自体そんなに大きくないのでだいたい徒歩で移動できる。
  • 意外と暑い日もあるけど、クーラーがないところが多い。
  • 薬一式とマスクが役に立った。のど飴、ビタミン剤も。
  • ウィーンは蚊が多い。
  • チョコレートは夏とける。
  • 英語が通じないところはほとんどない。無理してドイツ語をしゃべったりしなくてOK。
  • デンマークは物価が高い。ベルリンはそうでもない。ウィーンはほぼ日本と同じくらいか。
  • 宮殿は美術館・博物館よりもはるかに混雑する。
  • アメリカほどではないにしろ、食べ物は大きい。
  • ヨーロッパ人は食卓で意外と小声で話す。ベルリン、ウィーンの日本人観光客は多い。日本人は食卓で声が大きい(反省)。
  • レインコートやレインハットがあると良さそう。

2013年7月16日火曜日

ヨーロッパ旅行 ウィーンのホテル・カプリ 

ホテルの朝食(イメージ)
 旅行するとき宿泊にはあまりお金をかけません。ウィーンで宿泊したホテル・カプリも1泊100ドルほどでしたが、だいたい同じくらいの値段のアメリカの大都市やコペンハーゲンのホテルと比べて格段にコストパフォーマンスが良かったです。

まず、ベッドが良いです。ホテルのベッドは体が沈みこむような感じで起きると腰や肩が痛いということがよくあるのですが、ここのホテルはスプリングがしっかりしていて身体に負担がかからず、よく休めて朝も気分良く起きられました。

それに、深くて脚を伸ばせるバスタブがあります。これまでに泊まったホテルはプールのシャワーのようなお粗末なシャワーのみの所が多かったため、バスタブがあるのは贅沢だと思いました。その上、シャワーヘッドも動かせます!

一番すごいと思ったのは朝食です。宿泊費に朝食も含まれています。ビュッフェ方式で、パン、ペストリー、ケーキ、果物、ハム数種類、ソーセージ、チーズ10数種類、卵、シリアル、ジュース、コーヒー、紅茶各種があり、おいしいです。テーブルに布のテーブルクロスが敷いてあって、小さなお花が飾られているところも良いです。朝食が豪華なので夫は「採算とれているだろうか」と心配するし、私は「間違って高級ホテルを予約してしまっただろうか」と心配していました。

外観は古いアパートのようで、最初見たときは大丈夫だろうかと思いましたが、滞在している間外観は見えないので問題ないのです。交通も便利です。wi-fiは宿泊費に含まれています。スタッフも感じが良くて、雨の日は傘を貸してくれましたし、蚊の多い日、部屋に蚊取り線香が準備されていたのも配慮が行き届いているなと思いました。もしまたウィーンに行く機会があればこのホテルに宿泊したいと思いました。


2013年7月15日月曜日

ヨーロッパ旅行 ザッハトルテ、ウィーンのお土産


16歳のザッハー少年が国王のために作ったとか、レシピが門外不出だとか、デメルと商標権を巡って争ったなどの逸話のあるウィーン名物、ザッハトルテを夫がご馳走してくれました。カフェ・ザッハーはホテルに併設されていて、小さめですがおしゃれでウィーンらしい(?)雰囲気です。でもBGMはウィンナ・ワルツではありませんでした。

ケーキにはアンズジャムが入っていて、アンズファンの私としてはうれしかったです。甘くないホイップクリームを沿えて供されます。ケーキ単独で食べると甘すぎる感じですが、クリームと一緒に食べるとなんとも上品な味でした。ジャスミン風味の紅茶も香り高くておいしかったです。売店でお土産にココアを買いました。これなら日持ちもするし、他の所では手に入りにくいようなので、お土産に向いていると思いました。


デメルに行って、エリーザベト皇妃が好んだというスミレの砂糖漬とチョコレートの詰め合わせを買いました。箱がかわいらしいです。スミレの砂糖漬はロマンチックな感じですが、甘い香水を食べているような妙な味でした。やはり花を食べるというのは難しいと思います。チョコレートはおいしかったです。デメルはウィーンで一番くらい有名なお菓子屋さんですが、店員の態度が横柄でした。ドイツでもオーストリアでも店員が無礼で、客とは絶対に目を合わせず挨拶もせず、隣の店員と無駄話をし、釣り銭を投げつけます。デンマークは感じの良い人が多かったですが、ドイツ・オーストリアで買い物をするとちょっと嫌な気分になりました。並行輸入などもあるので気分良く買い物をするには日本の方が良いと思いました。

貝殻は美術館から。ヨーロッパの美術館で買う必然性が皆無ではあるものの、そこで見た静物画にそっくりの貝殻が描かれていたこと、内側もピンク色できれいだったことから、買いました。貝殻は絵になるもので、お花や食べ物よりも絵に描いたとき格段に引き立つように思います。

ヴィンターハルター作
星(エーデルワイス)の形のものはウィーンの観光地のどこにでも売っている、エリーザベトの髪飾りを模したブローチです。本物はダイヤモンドで装飾されていたそうですがお土産のものはスワロフスキーです。スワロフスキーはオーストリアの会社です。ブローチの他、髪飾り、ペンダント、ブレスレットなど同じデザインのいろいろな装身具がありました。シシィ・ショップのウェブサイト

ハプスブルク家御用達だった陶磁器メーカー、アウガルテンのお店を覗きました。ロイヤルコペンハーゲンも日本人が多かったですが、ここでも「日本語が話せるスタッフもいます」と案内されました。手描きの陶磁器は何もかもが手が出ないお値段でした。お店にあった一番小さいものは指貫で、10ユーロくらいなら買おうかと思ったところ、「76ユーロです」と言われたので、カタログだけもらいました。夫が「欲しい食器があるなら毎月少しずつ積み立てておいて、貯まったら買ったらええよ」と言ってくれました。

ヨーロッパに旅行する機会なんて一生に何度もないだろうから、と(無駄な)ものを買って散財してしまったので、しばらくはおとなしく節約生活をしようと思います。

2013年7月14日日曜日

ヨーロッパ旅行 ベルヴェデーレ美術館


 ウィーンに行ったらクリムトやウィーン分離派の作品を見たいと思いました。歴史美術館は18世紀以前の美術品が中心ですし、ニューヨークでノイエ・ガレリーに行ってがっかりした経験もあるので、クリムトの「キス」が所蔵されているベルヴェデーレ美術館(オーストリア・ギャラリー)には期待していました。期待に違わぬ展示で、特別展も良く、その上美術館自体がもともと王宮だったため豪華な建物で大満足でした。内部は撮影禁止なので、画像は公式サイトから拝借しています。

クリムト「水蛇」
クリムトの作品は、印刷やディスプレイで見るのと実物を見るのでは印象がまったく違います。金や銀を多く用い、絵の具を厚塗りにした上で削って模様をつけるなど、特殊な技法による絵が多いのですが、そういうのは紙やディスプレイにはきれいに再現されないようです。複製は妙にベタッとした感じで「やたら派手で変な絵」と思っていました。でも、薄暗くした部屋に金色の絵が展示されているのは神秘的で、装飾の繊細さに驚きました。女性の肌の色は少し緑がかっていて透き通るようです。19世紀末に流行した、結核に感染し、蒼白な顔色の「宿命の女」らしい姿だと思いました。複製を見ると妖艶さが際立つものの、実物では清楚さやはかなさも感じられるので不思議です。インターネットで画像検索すると、クリムトは初期の作品も硬質で美しいと思いました。コネチカット州ハートフォードの美術館に一点、あるらしいのでぜひとも見にいきたいものです(他にブーグロー、レイトン卿もあるらしい)。

メッサーシュミット「念入りな道化」
おもしろい展示は、18世紀の彫刻家、メッサーシュミットによる一連の頭部彫刻で、変顔コンテストのような表情の人たちがぐるっと輪になっているのです。現代アートかと思いました。夫は当然のように全部の変顔の真似をしていました。


古典主義的な絵画作品もあります。有名な馬上のナポレオンの肖像画もここにあります。


イジメ噴水
ベルヴェデーレ宮殿は丘の上にUpper Belvedereが、下にLower Belvedereがあり、まずは上で常設展を見てから、庭を散策して下に行きます。庭には写真の噴水があって、夫が「ひどいわぁ。なんでああいうことするん。かわいそうや」と言っていました。美術館に行くと、美しいもの、ゴージャスなもの、見事な細工のものをたくさん見ますが、ユーモラスなものも一つか二つ必ずあります。ユーモラス芸術品に気付くと、いつも夫が「punkaさん、あれあれ」と言って台詞付きで作品解説をしてくれます。


Lower Belvedereではウィーン象徴主義をテーマとした特別展が開催されていました。特別展のポスターに使われているカール・メディツの赤い天使の絵は、あまり美しくないし、展覧会全体の印象はこんなギラギラとした薄気味悪い感じではありません。なぜこの作品をアピールするのか疑問です。全体としてはメランコリックで、夢幻的な青い絵が多かったです。ギュスターヴ・モローやクノップフの他は聞いたことのない画家の作品が多く、画像検索してもほとんど見つかりませんでした。こういった、知名度が高くないけれど好きな感じの絵をたくさん見られて良かったと思います。


ベルヴェデーレ美術館で買った絵葉書ですが、他の美術館所蔵のものもあります。右上の王子さまの絵はクリムトです。こんな絵も描いていたのか、と意外でした。

2013年7月13日土曜日

ヨーロッパ旅行 シェーンブルン宮殿、ホーフブルク王宮

シェーンブルン宮殿。Wikipediaより
ホーフブルク。出典
ハプスブルク家の、シェーンブルン宮殿とホーフブルク王宮は観光都市ウィーンの目玉です。つまりとても混雑しているということです。どちらも朝一番くらいで行ったのですが、混雑、混雑、とにかく混雑で、スリに気を付けてできるだけ早く人混みを抜けようと思い、ゆっくり見ることはできませんでした。満員電車のような混雑でした。

ホーフブルク宮殿前。馬車は観光用です。見た目はいいけど臭いが…
この二つもオーディオガイドがついていますが、それを聴きながらゆっくり見ようとは思いませんでした。オーディオガイドの代わりにパンフレットをもらいました。日本語もあります。これはなかなか内容が濃くて、後から座って読むとおもしろかったです。展示を見ながら読めるとともっと良かったとは思います。
マリア・アントニア。Wikipediaより
エリーザベト皇妃。Wikipediaより
シェーンブルンも、ホーフブルクも興味を引くのは「お姫さま」特にマリー・アントワネットと美貌で名高いエリーザベト皇妃です。小学生の集団が見学に来ていて、夫が「女の子はおとなしく聴いとるけど、男の子は退屈しとるな。『もうこんなんええから、早く帰って遊びたい』って感じやな」と言っていました。女の子はお姫さま大好きだし、男の子はそんなものに興味はないでしょうから、不公平な見学のような気がしますが、ほほえましくもあります。ホーフブルクには「シシィ(エリーザベト皇妃)博物館」があり、シェーンブルン内の子供博物館は子供たちが昔の王侯貴族のような扮装をできるようになっているのでした…
お姫さまがクローズアップされているとはいえ、私は質素で謹厳実直だったというフランツ・ヨーゼフ皇帝の生活ぶりに感銘を受けました。3時間睡眠で早朝に起床し、一日に数百人と謁見して国民の声にも耳を傾け、食事の時は他の人が全員食べ終わるまでカトラリーを置かない、など。

ラピスラズリ製の噴水
 ハプスブルク家は莫大な富と絶大な権力を誇ったヨーロッパ屈指の王族でしたから、宮殿も壮大で、内部も豪華絢爛でした。これに比べればコペンハーゲンで見たローゼンボー宮殿など、小さく思えるほどです。これだけスケールが大きく、時代の変遷を経て長年使用されると、美の追求よりも権力・財力の誇示という側面が強まっていくように思いました。ともあれ、日本やアメリカにはこういったものはなく(城、大邸宅はあってもここまで大きくはないし、重視している点も異なる)インパクトは絶大なので、はるばるヨーロッパまで来てそれらしいものが見られて良かったと思います。本当は「早く帰ってビール飲みたい」という心境だったと思いますが、お姫さま趣味に付き合ってくれた夫に感謝します。

2013年7月12日金曜日

ヨーロッパ旅行 「音楽の家」


モーツァルト最後の楽譜
ウィーン・フィルはシーズンオフだったので今回コンサートには行けませんでしたが、Haus der Musik(音楽の家)に行きました。音楽関連のものの展示といえば、作曲家の写真や遺品、自筆譜などの他は目覚ましいものもなく、この内容でこの14ユーロの入場料は少し高いのでは?と思いましたが、音声ガイドが含まれています。日本語のガイドもあります。


ベートーヴェンのライフマスクです。肖像画で見るよりも普通な風貌です。ベートーヴェンは容姿端麗はありませんでしたが、生涯にはたくさんの女性と恋愛関係を持ったそうです。ライフマスクからは分かりませんがカリスマ性のある人だったのだろうと想像します。


シューベルトの眼鏡はこの博物館の「もっとも価値のある収蔵品」だそうです。自分の眼鏡と比べてみました。遠近法も多少はありますが、ずいぶん小さい眼鏡です。

舞踏会関連のもの
オペラハウス
おもしろいことはおもしろいですが、相当な音楽マニア向け(私はそこまでではないです)で、音楽を楽しむにはコンサートに行く方が、こういう展示を見るよりはいいかなと思います。


この映画はフィクションの部分が多いそうですが、ストーリーはきれいにまとまっていましたし、ベートーヴェンの音楽の使い方も良かったです。

2013年7月11日木曜日

ヨーロッパ旅行 美術史美術館(ウィーン)

Wikipediaより
 ウィーンに行ったらまずはここ、かどうか分かりませんが、美術史美術館に行きました。ハプスブルク家の君主が建てさせた美術館で、建物が宮殿のように立派です。欧米の美術館はどこでもだいたい建築が見事ですが、ここまですごいのはなかなかお目にかかれません。重厚でヨーロッパらしく、ただこの空間にいるだけでも幸せになります。



美術品のコレクションは19世紀までと銘打ってはいるものの、18世紀末までの作品が中心です。


ヤーコプ・フレルという画家の作品です。はじめて聞く名前ですが、フェルメールとハンマースホイの雰囲気を併せ持つ画風だと思いました。フェルメールもハンマースホイも好きなので、この感じがいいなと思います。

かわいい
ブロンズィーノ。大理石のようなお肌
ブロンズィーノの描く肖像画はおそらく写実的なのでしょうが、キリスト教や神話に取材しているテーマの場合、人物が並外れて端正な容貌です。精緻な絵を描く画家だと思います。それと細く長い指の手がきれいです。

ティツィアーノ
 写真をたくさん撮ったのですが、この美術館は照明があまりよくなくて、ほとんどピンボケか光ってしまいました。絵画のテーマは、1.王侯貴族の肖像画、2.キリスト教関連、3.神話すなわち裸の人々、のいずれかでした。ハプスブルク家の特徴的な顔立ちがどういうものがちょっと分かりました。ルーベンスのコレクションが充実しています。ただ、私にはルーベンスの良さは理解できません。美の感覚が現代とはかけ離れています。おもしろかったのは、同じ作品のいくつかのバージョンを並べて展示しているものです。同じ画家による同じ主題の作品は世界各地の美術館に散らばっていることが多くて、並べて見られる機会はなかなかない気がします。

「ちょっと来なはれ!」「やめてぇ!」

天井の装飾。この少し下にはクリムトによる壁画もあります。美術館は吹き抜けの所にカフェがあり、美術品に囲まれてお茶するのも乙なのかもしれませんが、tripadvisorによると「サービスが悪い、スタッフが失礼」とのことです。狐とブドウっぽいですが行かなくて良かったのかもしれません。この美術館はミュージアムショップの品揃えがよく、王侯貴族の肖像画から翻案したアクセサリーが色々ありました。なお、コレクションの点数は一日中美術館で遊べるほど多くはないです。