驚異の青い棚 3.砂時計と水晶


祖母が初めてドイツに行ったとき、お土産に、と買ってきてくれたのが、小さな真鍮の砂時計でした。25年くらい前のことですが、子供だったから、ということを勘案しても、当時は今ほどはヨーロッパのものが簡単に手に入るわけでもなかったようです。祖母は、ほかにお土産としてプチポワンのついた指貫と、アメジストのクラスターを持ってきてくれたので、外国には、物語か絵本の中の世界のように、本当にすてきなものがあるのだなぁと憧れました。子供の時持っていたものの大半は、なくしたり、人にあげてしまったり、捨ててしまったりなどしたようですが、その時のお土産は、すべて残っています。砂は2秒くらいで落ちるので、まるで実用性のない飾りにすぎませんが、真鍮色と水色の砂の取り合わせがしゃれていて、気に入っています。

一緒に飾っている水晶は、透明度が高く、内部には少しイリデセンスが見えます。これは、祖母が特に好きな、スイスの絵本作家、アロワ・カリジェの絵本『フルリーナと山の鳥』に因みます。主人公の少女が、岩の間に水晶を見つけるシーンが印象的です。

祖母は高齢で、外国を旅行することもままならなくなってしまったので、今度は私がアメリカのお土産を持って、会いに行くことにします。昔いただいた砂時計をこんなふうに飾っていますよ、と言えば、祖母も喜んでくれるのではないかと思います。

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